NDIRの背景

NDIRの背景 NDIRは被分散型赤外線吸収法という手法で、気体の成分や濃度などを測定する技術です。
気体には、それぞれ特定の波長の赤外線を吸収するという性質があります。
気体を閉じ込めた管の一方の端に赤外線を放射するランプを設置し、反対の端に赤外線を検知するセンサーを配置して、ランプから放射された赤外線が管内の気体を通る間に吸収された波長はセンサーには到達しないため、到達した赤外線の波長を調べることの管内の気体の成分や濃度を測定することができます。
このNDIRの原理は以前に発見されていたのですが、最近は次のような背景から特に注目を集めるようになりました。
地球温暖化の問題で二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの増加が地球環境の変化に大きな影響を与えていることや、自動車などの走行車両から出される排気ガス中の窒素酸化物が酸性雨の原因となっていることなど、産業や生活において排出される気体を制御することが求められるようになり、そのために気体の成分や濃度を測るNDIRの技術が注目されるようになりました。
また、製造技術の進歩により、装置の小型化や測定の精密化が以前より安価にできるようになったことも背景の一つとしてあります。

赤外線の発見で誕生したNDIRによるガス濃度計測

赤外線の発見で誕生したNDIRによるガス濃度計測 NDIRとは「Non Dispersive InfraRed」の略で日本語では非分散型赤外吸収となります。
非分散型ということは分散型があるのかと言えば、それはあります。
分散型の方が先に登場するのですが、今から70年程前には非分散型が登場しました。
当時、非分散型にすることによって小型化が出来、扱いやすくなったということでそちらの方も発達していきました。
ところで赤外線と言えば太陽光にも含まれるものですが、可視光線の赤色の波長よりも長くなり人間の目では見ることが出来ません。
しかし見えないものをどうやって発見したのか不思議です。
それゆえに現代に近い頃だったのではと思うかもしれません。
実は赤外線を発見したのは、なんと今から200年程も前の1800年のことなのです。
日本で言えば江戸時代の後期頃です。
ちなみに明治元年は1868年なので、それほど現代に近いということでもありません。
見つけたのはイギリスの天文学者で、太陽光をプリズムで虹色に分けた時に色のない部分、つまり赤の外側に温度計をかざすという実験をしたところ温度が上昇したため、見えない光があることを見つけたのです。
さてNDIRは赤外線を使って二酸化炭素などのガス濃度の計測に使われます。
そのガスが赤外線を吸収する性質をもっているため吸収量を得ることで濃度が分かるのです。
もし赤外線を見つけていなければこういった方法も誕生しなかったはずです。